2015.08.23 Sunday
チンクエ・トッリ 標高2200メートルにある戦争博物館の続き コルティナ・ダンペッツオ [イタリア2015]
「5つの塔」という名前の奇岩の周囲が、ハイキングコースとしてとても有名だというので行ってみました。
コルティナ・ダンペッツオからバスで20分ほどです。リフト乗り場の駐車場は満車です。すごい人だ。
スキーリフトに乗ると、安直にチンクエ・トッリの真下まで連れて行ってくれます。標高2255メートル。
高さ100メートルほどの、つぶれかけの5つに分かれた岩があります。そこをよじ登っている奴、周りをマウンテンバイクで走っている奴、兄弟とケンカしている家族連れのガキ、さまざままな種類の犬といった、のどかな景色が広がっています。
この高台の谷側に近いほうが、またイタリア軍の塹壕になっていて、大砲が据えてあったり、救護所があったり、見張り台や信号台があります。これを称して「第一次大戦の戦争博物館」と言っているのですが、これはなんのこっちゃない、2014年に制作されたThe Silent Mountainという映画のセットみたいなんですね。
なるほどここならリフトから近いので、セットの建設も撮影機材を引き上げるのも、楽だったでしょう。
また恐らくここは実際の戦争の時も陣地として使われていたのだと思います。おととい行ったラガッツォイ山は谷を挟んで向かい側で、その隣のトファーナ山にかけて、砦を築いてにらみ合っていたのでしょう。
チンクエ・トッリ側のほうが平坦なので、岩の裏側に司令部が置かれたようです。ウンベルト3世も視察に来ている。
最初の戦闘は1915年6月15日にあったと書かれていました。トーチカのあちこちに説明板があって、戦争についての解説がしてあります。それによると「イタリア王国の参戦の目的は、トレントとトリエステの再復だった」となっています。平和がどうとか、侵略戦争がどうとか、そういう余計なことは書いてありません(当たり前のことですが)。
そういう野外展示を、みなさん熱心に見て回っています。
まあ、いちおうイタリアが勝った戦争ですからねえ。
ちなみにRai3は、2015年8月15日は午後9時からディズニーが作った「パールハーバー」をやっていました。
第一次、第二次大戦を通して、日本と同じ側で闘ったのは、全世界でイタリア王国とタイ王国だけです。タイについては8/12の赤匪新聞に書いてあった通り、日本が武力で脅かして米英に宣戦布告させたので、実質的にはイタリアだけなんです。
逆に言うと世界中探しても、前世紀の大戦に参加した国ぐにの中で、まったくそういう意趣遺恨のない関係なのは、日本人にとってはイタリア人だけだということです!
この岸壁のてっぺんでも戦闘が・・・