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イタリア旅行記 健康・医療・美容・生活

イタリア旅行記 きょうの健康・医療・美容・生活
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つ、遂にザルツブルグ音楽祭デブー シュトラウス「バラの騎士」 貴族的、あるいは「高貴」とは何か すみません、わたしは旅行中なもので、タキシードは持ってません、お許しください。 [イタリア2015]
ザルツブルグ音楽祭 シュトラウス「バラの騎士」

つーか、そもそもタキシードなんか持ってません。浮きまくりです。わたしもしかたなくネクタイとシャツをコルティナ・ダンペッツォで買いました。高くついた・・・
でもいまブレンネロ峠の近くに投宿しているので、この機会に行かないと後悔すると思って、行ってみました。
今はわたしは、このオペラが表現しているのは、「高貴さ」とは何かという普遍的な価値についてであると思っています。

ザルツブルグ音楽祭 シュトラウス「バラの騎士」

まあ話の内容は、よく考えてみればとんでもなくふざけた話なのですが、マルシャリン(元帥夫人)に焦点を当ててみると、若い燕と遊んでいて、でも世の中には彼女にはよく分からないことが゛たくさんあって、例えば歳を取るなんてのはそういうことであって、なんだかよくないけど世の中は神様が作ったものだからそれでいいのであって、ということは若い燕は必ず自分から離れていくということです。それを彼女は自覚しているし、そういうのを「軽く」過ごさないと神様に罰を与えられると思っている。
それで突然そういう別れの日が来たときに、如何に毅然と、揺るぎなく振る舞えるか。塩野さんはよく「やせ我慢」とおっしゃるのですが、早い話そういうことなんだけど、そのようにして自分の立場をわきまえ、相手のために立ち回る態度、それが貴族的な姿勢であって、それが人間同士が作っている世の中を支えている根本に近いもんなんじゃないのかなあということです。

ザルツブルグ音楽祭 シュトラウス「バラの騎士」
マルシャリンのそうした態度を際立たせるために、三文貴族のオックスが設定されてるんじゃないのかとさえ思うのですが、実はこのオペラのタイトルは「オックス」になりかけたというのですから作者はそこまで意識していないのかもしれません。
あと「ビシェッテ」がいいよね。設定ではマルシャリンの年齢は30歳くらいなんだよな。昔の人は寿命が短かったけど、若くして大人だったということでしょう。

シュトラウスはザルツブルグ音楽祭の創始者の一人。今年は生誕150周年だそうです。
ザルツブルグではこのオペラをここのところ10年おきにやっているらしい。わたしもこのオペラを10年おきに、クライバー/ペーター・シュナイダー/ウェルザー=メストでウィーン・フィルで観ています。
最初はワルツがおもしろいとか、恋愛劇がおもしろいという興味でこのオペラを好むようになるのですが、年を取るとマルシャリンに感情移入するようになっちゃいますね。
日本でも必ずこの舞台をテレビ放送するので、ご興味のある方はご覧ください。おもしろいですよ。

ザルツブルグ音楽祭 シュトラウス「バラの騎士」
演出について
最大の話題はクプファーの演出です。かっ飛んだものになるのかなと思っていたら、常識的なセンでした。舞台は18世紀からちょうどこのオペラが初演された20世紀初頭のウィーンに時代を移してあり、背景を当時の街のモノクロ写真にしています。人物の服装もそうで、みんなある程度まともです。イタリア人の詐欺師カップルすらも。
アールデコ風の家具が回り舞台を使って移動します。
照明もよく工夫していて、舞台装置や人物が移動したときの影を使ってモノトーンの落ち着いた感じを出しています。
舞台が落ち着いている分、人物には過剰な演技をつけています。第3幕の前半なんか、どたばた劇になっています。
おもしろかったのは、オクタピアンがオックスの腕を剣で傷つけるのでなく、決闘を挑むオクタピアンから逃げ回っていたオックスが、オクタピアンから投げ渡された剣を受け取ったときに、自分で傷ついた設定にしていたこと。そういうパターンもあるのでしょうが、私は初めて見ました。
また台本ではオックスにおびえる公証人がすごい大男で、ぜんぜんおびえてないのもおもしろかった。
第2幕のファーニナル邸の背景写真は、シュターツオパーのホワイエを使っています。差し障りがなくていいんでしょうが、いかがなものか。
第3幕の背景写真だけカラーです。
ザルツブルグの舞台らしく、正統派の演出を狙ったのでしょうが、たいしておもしろくもなく、んーまあこんなもんかという感じです。

歌手はみんな酷評されていて、マルシャリンのストヤノーヴァだけが評価を受けているようですが、みんな頑張ってたと思います。ゾフィーが黒人で、しかも演技過剰というのはどうかと思いますが。

ザルツブルグ音楽祭 シュトラウス「バラの騎士」
シュトラウス像


ドレスコードについて
このオペラ、長いので6時から始まるんですよ。そうすると4時には飯を食べないといけないわけで、4時なんてめちゃくちゃ暑いわけですよ。
この夏に、タキシードを着てるなんて異常ですよ。もうちょっとなんとかならないもんでしょうか。わたしゃ日本でもネクタイなんか締めたことないんですけど。
中国人がTシャツで入っていたが、あれはあれでどうかと思う。

ザルツブルグまでの道程
ザルツブルクまではすぐ近くだろうと思って舐めていたら、けっこう大変でした。ビピテノの駅まで朝8時のバスで20分。そこからブレンネロまではイタリア国鉄。その先はオーストラリア国鉄なんだけど、切符はドイツ国鉄で、インスブルックからザルツブルクまでは2時間。そこから市内バスにどう乗るのかいろいろ研究して、祝祭劇場についたらチケットの受け取り場所が分からなくて、やっとチケットを受け取ったら1時半でした。
| - | 22:10 | - | - | pookmark |