2014.09.27 Saturday
軟骨や骨の異常で低身長や呼吸障害になる難病の治療に iPS細胞を薬の開発に生かした初の事例
軟骨や骨の異常で低身長や呼吸障害になる難病の治療に、高コレステロールの治療薬として広く使われるスタチンが有効とみられることが、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた実験で示されたと、京都大iPS細胞研究所の妻木範行教授らが発表した。
2年以内に人に投与する臨床試験(治験)の実施を目指す。実現すれば、iPS細胞を薬の開発に生かした初の事例となる可能性がある。18日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に論文が掲載される。
軟骨無形成症とタナトフォリック骨異形成症という難病は、生まれつき遺伝子に異常があるため、それぞれ軟骨や骨が発達しない。ともに新生児の2万〜4万人に1人が発症する。現在は有効な治療薬がない。
妻木教授らは、軟骨無形成症患者の皮膚からiPS細胞を作製。軟骨に変化させるたんぱく質を加えても異常な細胞しかできず、病気の特徴が再現された。
このiPS細胞を軟骨細胞に変化させる過程で、軟骨の成長を促すとの報告がある薬を加えたところ、スタチンが最も効果的に正常な軟骨を形成させることがわ かった。そこで遺伝子操作で軟骨無形成症にしたマウスにスタチンを投与すると、その軟骨は正常なマウスと同等に成長した。