群馬大学病院(前橋市)で、腹腔鏡を使う保険適用外の肝臓手術を受けた患者8人が死亡した問題を受け、日本外科学会などは15日、記者会見を開き、初の全例調査の結果を公表した。
腹腔鏡を使う保険適用外で高難度の肝臓手術は、死亡率(手術後90日以内)が全国平均で2・27%だった。群馬大病院で問題となっている第二外科の死亡率は保険適用外に絞ると13・79%で、全国平均の6倍になることがわかった。
全例調査は、日本外科学会と日本消化器外科学会が合同で実施。全国で行われたすべての外科手術を登録するNCD(ナショナル・クリニカル・データベース)の2011〜13年のデータを使い、全国2336医療機関で行われた肝臓、膵臓など消化器の手術137万7118件を対象に分析した。肝臓手術は、問題となった保険適用外の腹腔鏡手術を調査の対象とした。
それによると、高難度の開腹手術と腹腔鏡手術を合わせた2万3489件の肝臓の手術全体について計算した死亡率は3・69%。保険適用外の腹腔鏡に限り算出した死亡率は2・27%で、肝臓全体の平均値を下回った。
肝臓手術に占める腹腔鏡手術の割合は増加傾向にあり、肝臓手術全体の5・1%が腹腔鏡。群馬大は腹腔鏡が約7割と極めて高く、高難度の手術の多くを腹腔鏡で行っていた。