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イタリア旅行記 健康・医療・美容・生活

イタリア旅行記 きょうの健康・医療・美容・生活
ミラノ乗り継ぎ リナーテ→マルペンサ空港3時間の乗り換えは無理ゲー [イタリア2015]
マルペンサ空港

イタリアに難民申請したのですが、体重制限で引っかかって認められず、しかたないのでローマから「帰ろう」と思って、旅程を確認してみると、なんとミラノ乗り継ぎは同じ空港ではなくて、ローマからの飛行機はリナーテ空港に着くので、自分でマルペンサまで移動しなければならない。
リナーテ着からマルペンサ発までの乗り換え時間は3時間。可能なのか? ネットで見てみると、乗り換えに成功したケースが書かれているのを見つけたので、「じゃあ行けるんじゃん」と安心しました。
翌日朝、初めてテルミニからバスでフゥミチーノへ。マッジョーレ教会やコロッセオ、カラカラ浴場、サンパウロ教会、エウルを眺める、なかなかの観光コースです。こりゃあいいやと思いつつ、空港でチェックイン。

エウル

飛行機に搭乗したのですが、なかなか飛びません。となりの女性に時計を見せてもらったら、18分遅れで離陸しました。
リナーテに着いたら、こんどは荷物がなかなか出てきません。タクシー乗り場に人が並んでいるので、バスに乗ったらなかなか出発しません。バスがスタートしたら渋滞です。
やっとミラノ中央駅に着いたら、バス停は駅の反対側に移動しているので長大な駅を横切ってマルペンサ行きのバス乗り場へ。
マルペンサ行きのバスも渋滞。ターミナル2の乗降にも時間を取られ、結局着いたら離陸時間25分前で、チェックインカウンターには人の影がありません。
これはそもそも無理な乗り換えだったみたいです(「土日など、すいているときは間に合うこともある」と係の人が言ってました)。
「どうすりゃいいのか」とインフォメーションで聞いたら、「チケットカウンター」に行けと言われたので、チケットカウンターに行って、「他の便に替えてほしい」と言ったら、いろいろ探してくれて「今晩の、北京経由のエア・チャイナのエコノミークラスであれば振り替えできます」と言われました。
しかしわたしは、二度と中国のような不浄の地には行きたいとは思っていないし、ましてや中国人とエコノミークラスに押し込められるなんて拷問以外の何ものでもないので、「翌日の便はどうですかね」と聞くと、満席とのこと。
とりあえず待ってる間に、翌日の東京のミーティングを二つキャンセルしました。
またいろいろ調整してくれて、なんとか翌日の同じ便に席を確保してもらいました。ここまで1時間。
「アコモデーションは?」と聞かれたので、「その向こうの椅子で寝る」と言ったら笑われて、ホテルの手配と移動の手配をしてくれました。
そのあと日本人スタッフを呼んでくれて、軽食バウチャーもくれたので、それで昼飯を食べて、ホテルに移動になったのですが、私一人が大型バスに乗ってホテルに移動しました。どんだけ環境に悪いんだよ。アリタリアはバスの便しか手配できないらしい。
デザインの凝った4つ星ホテルで、また食事がとてもうまく、ワインのセレクションもよく、ベッドもよかったのでぐっすり眠れて言うことはありません。
翌日正午にチェックアウトして、冷蔵庫のミネラルウォーター代だけ1.5エウロ払って、また大型バスでマルペンサまで送ってもらいました。
アリタリアは、エティハド航空に買収されてから、客扱いが変わったんですかね? まあでもこれなら、これからも安心して使えそうです。
| - | 20:36 | - | - | pookmark |
カピトリーノ美術館 マルクス・アウレリウス騎馬像 カラヴァッジョ ローマ市内観光 [イタリア2015]
カピトリーノ美術館コンスタンチヌス帝

ローマをぶらぶら歩き。ジェラートを食べながらカンピドリオに登ってきて、月曜なのでやってないかと思ったら、カピトリーノ美術館がやっていたので、カピトリーノのヴィーナスが見たいと思い、入ろうと思ったら「入口は反対側の建物」と言われました。どいうこと?
なんと、カンピドリオに向かい合って建つ、1471年以来の「世界最古」と称されるこの2つの美術館は、リニューアルして一つになったんですね。
早速入ってみると、マルクス・アウレリウス・アントニヌス騎馬像が、その価値にふさわしい空間を得て鎮座しています。すばらしい!

カピトリーノ美術館

このコロッセオと並んでローマ文明の頂点を示す像は、これまで彫刻美術館のほうの中庭のガラス窓の中に閉じ込められていて、光線の具合でどうやってもよく見えなくて困っていたんです。
それがちゃんと見える! はじめてこの奇跡の騎馬像をじっくり見ることができました。
その裏側には、BC7世紀に遡る、王政ローマ発祥の地であるカンピドリオの丘の発掘展示が見られます。千年にわたるローマの歴史を一望することができる空間です。
1階では、3世紀くらいのローマ人の胸像を一族郎党全部並べてみせる展観をやっています。

カピトリーノ美術館

上階は古代ローマの貴重なコインが展示されていますが、見るのはかなり骨が折れます。
違うエレベーターでまた上階に登るとバロック期以降の画が充実した美術館になっています。

目玉は2枚のカラヴァッジョです。
「女占い師 」 これも、残酷とか、緊張とか、そういう瞬間を切り取った一枚です。一見のどかそうな景色ですが、これはジプシーが「手相を見てやる」と言って、男性の指から指輪を抜き取ろうとしている瞬間を描いてるんだそうです。
どうもそうは見えませんが、そういう説明になっている。ルーブルにも同じ主題同じ構図のがありますね。
カピトリーノ美術館

その横にある「洗礼者ヨハネ」は対照的に、どかんと上からの強烈な光で対象が浮かび上がっています。ヨハネのどういう面を描こうとしているのは、私は知りません。
カピトリーノ美術館

ヴェロネーゼ、ティツィアーノ、ティントレットなどのヴェネチア派もあります。
カピトリーノ美術館カピトリーノ美術館カピトリーノ美術館

ピエトロ・ダ・コルトーナ「サビーニの略奪」
カピトリーノ美術館

ロッカー横の階段を下りると、カンピドリオ広場の真下を横切って新宮殿に行く地下道になっています。

これをまた見たかった! カピトリーノのヴィーナス 24年前に見て以来。この像の劣悪なコピーは世界中に溢れていますが、オリジナルは全然違います。
カピトリーノ美術館

瀕死のガリア人とか、エロスとプシュケーとか。

カピトリーノ美術館カピトリーノ美術館

そして「カピトリーノの狼」

カピトリーノ美術館
 
| - | 19:53 | - | - | pookmark |
バルベリーニ美術館 カラヴァッジョ「ナルキッソス」「瞑想する聖フランチェスコ」 ローマ市内観光 [イタリア2015]
バルベリーニ美術館バルベリーニ美術館

ちょっと入口がわかりにくいんですよね。地下鉄バルベリーニで降りてトリトーネの泉を見て、大通りのバルベリーニ通りじゃなくて、ヴェネト通りと反対のクワトロ・フォンターネ通りを50メートルばかり上がったところに、何かの映画で観た門と建物が・・・。わかんねえよなあ、ガイドブック無しでうろうろしてるんだから・・・
「ローマの休日」でアン王女が滞在していたのはここなんですね。

当初設計者が死んで、その後をベルニーニと、ボッロミーニという、ローマバロック最大のライバルが引き継いで作った建物です。
建物自体もおもしろいです。正面向かって左側の美術館に上がる階段がベルニーニ、右手の階段がボッロミーニの作で、各々の特徴をよく示している対照的なところがおもしろい。

ベルニーニの階段
バルベリーニ美術館

ボッロミーニの階段、いかにも!
バルベリーニ美術館

切符売場で「今日は2階しか見れないよ、今日だけ」といわれる。しかも7エウロの通常料金。エーッ、じゃあフィリッポ・リッピが見れないじゃんと思いつつ、しかし7エウロでカラヴァッジョが3枚見れるのなら激安とも思います。
わたしはカラヴァッジョを見たいと思ってやって来たのですが、この美術館は建物と同じで、バロック期の絵画を幅広く展示していてなかなかおもしろいです。16世紀にすでに自然主義がかなり広がっていて、それが逆に宗教画に影響していたことも分かります。

カラヴァッジョの「ナルキッソス」「瞑想する聖フランチェスコ」、この部屋にはカラヴァッジョに直接影響を受けた人たち(カラヴァッジェスキ)の絵も飾ってあるので、それと比較して思うのは、カラヴァッジョの画から受ける強烈な印象は、彼の性格から来る逆説的な表現テクニックによるものだということです。

バルベリーニ美術館

つまり、ナルシスにしても、聖フランチェスコにしても、見ている人がいちばん知りたいのは彼らの顔や表情ですよ。でも、まったく関係のないところに強烈な光を当てることで、顔が見えなくなってしまっています。ナルシスのほうはもっと手が込んでいて、水面に映った顔は実際の顔よりややこちらを向いていて、光の当たり具合によってはもっとよく見えそうなものなのに、見えません。
関係のない肩や、膝小僧だけがハッキリくっきりしていて、肝心要のところは見せてくれないんです。この飢餓感。そこには美少年であることまちがいない顔や、神に選ばれた聖人の悩める顔があるにもかかわらず、見えないから自分の想像力で埋めることを強要されます。
その見えなさ加減の嫌らしさが、凡人と天才では違うということが、他の似た作品と比較して確認できます。

バルベリーニ美術館

それがカラヴァッジョが画の中に潜ませたマジックなのではないかと今回思いました。実に彼らしい、見る者の意識にまで長い手を突っ込んでくる画なのではないでしょうか。
で、彼らしさが極まった代表作とも言える「ホルフェルネスの首を斬るユディット」・・・ありませんでした。イッツ・ゴーン。しくしく。
なんかいろいろ工事してて、ラファエロの「ラ・フォルナリーナ  」も別の部屋に他の作品ごと移されてるんですよね。まあいっか。
バルベリーニ美術館
これは、バラティーナ美術館の「ヴェールを被る婦人の肖像」と同じモデルなんだろうな。

で、展示室から大広間に出て、天井画をなんとなく見ていると、ぐんぐん天井が高くなっていきます! 何とこの天井画、えらい奥行きのある立体画なんですよ。ピエトロ・ダ・コルトーナの天井画です。
寓意画で、バルベリーニ家のシンボルである蜂もたくさん描き込まれています。これは視覚的にかなりおもしろい体験です。
バルベリーニ美術館バルベリーニ美術館バルベリーニ美術館

隣の部屋には、このピエトロ・ダ・コルトーナの作品がいくつもあります。これは「サビーニの略奪」。
ボッロミーニ

マニエリスム
バルベリーニ美術館

ヘンリー8世 ホルバイン
バルベリーニ美術館
| - | 19:36 | - | - | pookmark |
サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂 ローマ観光 [イタリア2015]
サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂

わたしは熱心な非キリスト教徒なのですが、まだローマの四大聖堂のうち、パウロの墓の上に建ったサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂だけは、「町の外にある」教会だけあって行っていないので、いろいろ罪滅ぼしができないとまずいので、行ってきました。
さすがに四大聖堂の一つ。巨大です。正面は19世紀末の火事の後のものでしょうが、大聖堂としては珍しく正面がキリストや聖人の絵柄になっています。古いバシリカ形式を受け継いだ前庭にヤシの木が生えているので、いかにも南国風の感じがします。

四大聖堂なので、聖年にだけ開く扉が・・

サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂

内陣のモザイクは、ヴェネチアのサンマルコ寺院のモザイクを作った職人の手になるものらしい。

サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂

堂内はとにかく巨大で、だだっ広い側廊が4列になっています。聖年にはこれが埋まったんでしょうね。きょうも大量のドイツ人がバスで運ばれてきて大げさな堂内の装飾に感嘆しています。こいつらがイタリア人に騙されるという図式は、今も昔も変わっていません。
ドームの前に仰々しい天蓋があって、その下が掘り下げてあって、パウロの火葬跡と、パウロの墓跡ということになっています。その前に、パウロがローマに囚人として連れてこられたときに使われた鎖なるものが飾ってあります。

サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂

まあわかりませんが、信じる者は救われるでしょう。教会の外に救いなし。
| - | 22:16 | - | - | pookmark |
エステ荘 ヴィッラ・デステへの行き方  ローマ市内観光 [イタリア2015]
エステ荘 ヴィッラ・デステエステ荘 ヴィッラ・デステ

ハドリアヌスの別荘(ヴッラ・アドリアーナ)に行くときも来たんだけど、この地下鉄B線終点一つ手前のポンテ・マンモーロ駅(Ponte Mammolo)というのは、とことんわかりにくい構造です。

ローマ郊外へ行くバスのターミナルのひとつなんですけどね。地下鉄の改札を抜けると1階で、改札の正面のATACは地下鉄のチケットを売ってるので、その向かいのタバッキでティボリまでのCOTRAL社のバスの往復切符を購入します。
で、1階の外はバスの降り場なので、2階に上がるとバス乗り場があります。ディスプレイを見て「TIVORI」と書いてある乗り場に行きます。このときは2番乗り場でした。青色のバスです。
で、バスに乗るのですが、生活路線です。観光客はおじゃま虫です。おまけに道路は渋滞してるか工事中で、ほこりっぽいし騒々しいし、散々です。しかし1時間くらい耐えれば、ティボリの丘を登る坂道にさしかかるので、見当をつけて終点一つ手前でバスを降ります。
バスを降りたところにはずらっと土産物屋が並んでいます。道を渡って来た方向と反対側にやや下ると、ゴシックの教会の塔が見えます。この教会の隣が、エステ荘の入口です。

エステ荘 ヴィッラ・デステエステ荘 ヴィッラ・デステ

でこのエステ荘は、もともと修道院だった建物は古いだけでたいしたことはありませんが、外に広がる噴水の庭園で有名です。建設を始めたエステさんはさっさと死んでしまい、その後200年ほどいろんな人が引き継いで工事を続け、4ヘクタールほどの敷地に500もの大小様々の噴水がある大庭園を作り上げました。
・・・というストーリーは知っているのですが、まあ来てみてびっくりですね。

エステ荘 ヴィッラ・デステ


大きな噴水や小さな噴水をアクセントをつけてうまく配置し、眺めの中でその噴水が生きるように、最高に工夫して作られていることが分かります。まったく見事なものです。
階段の手すりにすら水が流れるように工夫されていて、よっぽどこの噴水庭園に情熱をかけていたんだろうなあと思わずにはいられません。
一度は見るべき値打ちのあるものだと言えますね。しかし、来にくいんだよなあ。

エステ荘 ヴィッラ・デステエステ荘 ヴィッラ・デステエステ荘 ヴィッラ・デステ

建物のほうでは、フランコ・ゼッフレッリのオペラのプロダクションのデザイン画や衣装の展示をやっていて、こちらもおもしろかったです。私が見た舞台もあったし、噂に聞いていた舞台のデザインも興味深く拝見しました。

エステ荘 ヴィッラ・デステエステ荘 ヴィッラ・デステ

帰りはちょっと歩いてティボリ市内へ。町に向かうバス停を教えてもらって、そこから帰りました。A24→ROMAと表示されているのですが、これは大理石の採石場の手前からA24の高速道路に乗ってポンテ・マンモーロ駅に行くというもので、行きに比べればずいぶん快適でした。前回もこのパターンだったなあ。

エステ荘 ヴィッラ・デステエステ荘 ヴィッラ・デステ

カピトリーノ美術館
カピトリーノ美術館
| - | 18:16 | - | - | pookmark |
チネチッタ(ローマ) 見学ツアー 遂に聖地を踏む 夢のようです、もう泣きそう! フェリーニの第5スタジオに入る なぜ私が「テルマエ・ロマエ」の解説をしなければならないのか[イタリア2015]
チネチッタ 見学ガイドツアー

チネチッタはずっと非公開だったのですが、サイトを見てみるとガイドツアーがあるらしいので行ってきました。
チネチッタの地下鉄駅のすぐ上が玄関で、中に窓口があって「ガイドツアーに参加したい」と言うと切符を売ってくれます。英語ツアーは11:30、16:30のみ。集合地点はカフェの前です。
前庭にフェリーニの「カサノヴァ」の冒頭に出てきた女神像(ヴェヌシア)の頭部が埋まっています。これ見ただけでもう泣きそうです・・

チネチッタ 見学ガイドツアー

知らない人のために前説すると、チネチッタはムッソリーニがファシズムの宣伝映画を作るために1937年に作ったヨーロッパ最大規模の映画スタジオで(ドイツのウーファー社との比較は知りません)、いまだにムッソリーニ時代の建築が残っています。ファシズム時代の映画はまったく見たことはありませんが、スキピオvsハンニバルのポエニ戦争の話を、軍隊を動員して撮ったりしてたみたいです。
戦後、ネオリアリズムが開花し、そこで出てきた才能がイタリア映画の黄金期を築きます。また同時に資金が潤沢なアメリカ映画の撮影にもチネチッタが使われるようになり、チネチッタは世界的に有名な映画スタジオとしてその名を轟かせました。オードリー・ヘップバーンの「ローマの休日」「戦争と平和」とか、デビッド・リーンの「アラビアのロレンス」とか、「クレオパトラ」「クオ・ヴァディス」といったローマ史劇とか、ハリウッド映画のプロダクションは80年代までに27本になるそうです。
いまもハリウッド映画や、テレビドラマ、CMの撮影にも使われています。スタジオ数は21(17は欠番なので22まである)

チネチッタ 見学ガイドツアー

ツアーのガイドは、第1スタジオ横のカギを開けて中に入ります。
まっすぐ奥に進んだところにあるのが、チネチッタ最大の第5スタジオ。5回アカデミー賞を受賞したフェデリコ・フェリーニ監督のホームグラウンドです。広さ3000平米。
いま、「ベン・ハー」のリメイク版の準備中で、スタジオは空いていて運良く入れました。ありがたい。

チネチッタ 見学ガイドツアーチネチッタ 見学ガイドツアー

「そして船は行く」のエンドロールで豪華客船の甲板のセットを見せているのは、このスタジオだったんだなあ。「アマルコルド」の豪華客船も、「カサノヴァ」のヴェネチア大運河も、「甘い生活」のヴェネト通りのクラブも、「8 1/2」の温泉保養地も、「ローマ」の地下鉄工事遺跡も、「サテリコン」の大地震も、モロ見せの「インテルヴィスタ」もぜんぶここに現出したまぼろしだったんだなあ。あれらの傑作を見てから30年、やっと来ることができましたよ。わたしの中では、30年前からぜんぜん時間が止まってるんです!
いまこのスタジオは伽藍堂だけど、フェリーニという大天才がここにこの世のモノでないものをどんどん創り出して、世界中を幻惑したんです。すごいことです。
どのように称賛しても足りません。まさに聖地と言えるでしょう。
フェリーニはポポロ広場ちかくに住んでいましたが、撮影中はこのスタジオの横にずっと住んでいて、朝からセットの中を歩き回っていたそうです。・・・という話を塩野さんにしたら、塩野さんはフェリーニ監督に「来てもいいよ」と言われれて、ここでマエストロがラッシュの編集をするのを見に来たことがあるらしい。すごいっす・・・

われわれもスタジオの中を突っ切って、隣にある巨大オープンセットへ。いまから10年前にBHOとBBCが200億円以上という巨費をかけて作った連続ドラマ「ROME」のセットです。制作費200万ドル、100人が半年かけて作ったオープンセット。

チネチッタ 見学ガイドツアーチネチッタ 見学ガイドツアー

チネチッタの優秀なスタッフが、ポンペイやエルコラーノの遺跡を参考に作ったもので、最新の発掘成果が取り入れられていると思います。つまり、昔のローマ史劇とはずいぶん違うところがあります。こまごました生活の道具も再現されていて、ちゃんと残っています。こういうのは前の「ベン・ハー」の時代には考証が適当だったものです。

チネチッタ 見学ガイドツアー

おー、カエサルのバジリカが!
チネチッタ 見学ガイドツアー

まあこのカエサルからアウグストゥスの時代にかけてのドラマ、わたしもおもしろく見ましたが、世界中でヒットしたようです。でもイタリアではRai2で放送されたけどイマイチの評判だったとか。
小振りのフォロ・ロマーノに、カエサルのバジリカ、ユピテルの神殿、ヴィーナスの神殿、「聖なる道」、下町などがセットで再現されています。フォロの一角は、なぜかエジプトになっていて、ここでクレオパトラとアントニーのエピソードが撮影されたんです。セットを見るといろいろ謎が解けます。
建物はファイバーグラスで作られていて、耐久性抜群です。その後、多くの映画やCMの撮影に貸し出されているらしい。「特に日本のテルマエ・ロマエというベリー・ファニーな映画に貸し出されて・・・」と、ガイドがムチャ振り。
まさかローマで外人相手に「テルマエ・ロマエ」について解説させられる羽目になるとは思いませんでした。
一作目の「テルマエ・ロマエ」の大成功は、ハッキリ言ってこのセットを貸してもらえたことによるところが大きいと思います。

ここで市村政親ハドリアヌスが演説を・・・ちょっと200年ほどずれてる気もしますが・・・

チネチッタ 見学ガイドツアー

そのセットの中のひとつの門をくぐり抜けると、こんどはエルサレム神殿が現れます。ここはいま公開中のキリスト映画のセットなので撮影禁止。
その隣にあるのが、あのチャールトン・ヘストンの「ペン・ハー」の海戦シーンが撮影された、有名なプールです。

チネチッタ 見学ガイドツアー

さいきんの「エベレスト」という映画では、このプールの中にエベレストが作られたそうです。だいたい「クリフハンガー」だってドロミテで撮影されましたが、高所恐怖症のスタローンはチネチッタで撮影していたんです。そういうもんです。
プールの縁に、今度のリメイク版の「ペン・ハー」で使用されたガレー船のセットが転がっています。すごいです!
しかし、新ベン・ハーは、族長イルデリムの役にモーガン・フリーマンが出るそうだが、イルデリムの出番なんか増やしてもしょうがなかろうに。

チネチッタ 見学ガイドツアー
新旧「ベン・ハー」の遺跡が・・、「ベン・ハー」は4度目の映画制作だとは思いますが・・

その横にレオナルド・デカプリオが出た「ギャング・オブ・ニューヨーク」のセットが、火事で焼けてしまって無残な姿をさらしています。この映画は制作費が巨額だったので、チネチッタのスタジオのほとんどを2年間貸し切りで撮影されたそうです。

その横には、典型的なイタリアの田舎の教会前広場が再現されています。

チネチッタ 見学ガイドツアー

このセットは撮影によっていろいろ変更するようで、教会の壁をトスカーナ風に直したり、広場の一部はヴェローナの町になっていて、最近の「ロメオとジュリエット」の撮影に使ったり、

チネチッタ 見学ガイドツアー
同じ広場の反対側は南国風でナザレの町になっていたりします。変な広場です。

チネチッタ 見学ガイドツアー
ヴェローナの町の壁の向こう側は、ジェード・ロウが主演するテレビドラマ「ザ・ヤング・ポープ」の撮影のために、ヴァチカンのファサードになっているそうです。
要するに、何でもできるんです、ここは。

そんなこんなでガイドツアーは終わり。
ガイドツアーに参加しなくても、チネチッタには展示施設(エキシビション)があるので楽しめますよ(チケット別)。
玄関入って前庭を挟んで左奥から1〜4と並んでいます。
1は「なぜチネチッタか?」という建物で、ムッソリーニ時代の映像展示と、フェリーニに捧げられた部屋があります。ここでは「甘い生活」のアニタ・エグバークの衣装、「道化師」の衣装、「ジンジャーとフレッド」でジュリエッタ・マシーナが着た衣装、「8 1/2」のラストシーンの笛を吹いて行進を先導する子供グイドの衣装が展示されてています。涙がちょちょ切れます。

チネチッタ 見学ガイドツアー

そのすぐ横が2映像展示になっていてチネチッタで作られた映画の数々を下手なモンタージュで紹介しています。まずネオレアリズモ、「自転車泥棒」はいつ見ても泣けるなあ。
そして「ティベレ川のハリウッド」と呼ばれたアメリカ映画との関わり、マカロニウエスタン(は、イタリア語では「スパゲティ・ウエスタン」)、あとセルジオ・レオーネは優遇されて一部屋与えられてましたね。

チネチッタ 見学ガイドツアー


「クレオパトラ」でエリザベステーラーが着た衣装。「メイク4時間」と言われましたよね。

チネチッタ 見学ガイドツアー

ヴィスコンティの「夏の嵐」でアリダ・ヴァリが着た衣装。うう・・・

チネチッタ 見学ガイドツアー

次の展示は3バックステージと言うことで、コンテとか、サウンドトラックとか、クロマキーとかの説明展示。
あと、なぜかわからんが、最後にアメリカ海軍の潜水艦内部のセットを通って外に出ます。

ご存じの方は少ないと思いますが、わたしは出版社に行かなかったら、THという日本の映画会社に入ってたんですよ。だから学生時代にけっこう映画は見てたんです。
いや〜わたしには、第5スタジオと、「ベン・ハー」などの超大作映画を撮影した伝説の撮影所を見ることができたということで、本当に感動の一日になりました。
あとですね、そうなんだ、世の中にはこんなすごいものをつくり出す偉大な才能があるんだ。独創は偉大だ、でも可能なことなんだということを、思い出した一日になりました。
| - | 21:52 | - | - | pookmark |
パラティーナ美術館(ピッティ宮殿) ラファエロ、ボッティチェリ、ジョルジョーネ。カラバッジョ、レンブラント・・・ フィレンツェをまじめに観光してみた [イタリア2015]
パラティーナ美術館

銀行家のピッティが「ドアの大きさはメディチのリカルディ宮の一間の大きさ、中庭の大きさはストロッツィ宮全体が入る大きさ」と大見得を張って建てた巨大な豪華宮殿です。
そんなことをしていてピッティは潰れちゃって、メディチやハプスブルクのものになっちゃうんですけどね。
もう撮影終わってるそうですが、来年公開のダン・ブラウンの「インフェルノ」では、トム・ハンクスが、この右下の古いほうのグロッタの左側に見えている、半開きの扉から入って行って「神曲」の秘密かなんかを暴くらしい。ご苦労なこってす。

パラティーナ美術館

で、このピッティ宮の中にある、パラティーナ美術館に行ってきました。
すばらしいです。

いかにものフィリッポ・リッピ。彼が口説いて妻にしたルクレツィアがモデルと言われています。まあルネサンスの幕開けですから。

パラティーナ美術館

ティツィアーノのフェリペ2世

パラティーナ美術館

「大公の聖母」 ラファエロの聖母子 レオナルド・ダビンチ風

パラティーナ美術館

「小椅子の聖母」 ラファエロの聖母子 ミケランジェロ風

パラティーナ美術館パラティーナ美術館


「天蓋の聖母」(1508年頃)。この手前の二人の天使が、あと5年くらい経つと、わたしがFBのアイコンに使っているようになるんです。

パラティーナ美術館パラティーナ美術館

死ぬ直前の愛人の姿を、結婚を連想させるヴェールをかぶせて描いたという「ヴェールを被る婦人の肖像」

パラティーナ美術館

ジョルジョーネ「三世代の人間」。すばらしい!

パラティーナ美術館パラティーナ美術館

ティツィアーノ 「マグダラのマリア」
ま、これはどういう画かというと、女性の魅力なんか描いちゃいけない時代に、「いや、これは改悛したマグダラのマリアですから」「そーか、改悛したマグダラのマリアならしょーがねーな」ということでOKになった画です。
「写真と本文は関係ありません」というやつです。ティツィアーノの代表作ですw

パラティーナ美術館

ティツィアーノが、ラファエロの「ユリウス2世」を模写して、かなりしょぼくしてしまった画です。悪意があるのでは? わたしはこのラファエロの「ユリウス2世」をとっても見たいのですが、いつも「貸し出し中」、「返却後」の行き違いで未だに見れません・・・

パラティーナ美術館

カラバッジョ 「歯を抜く人」 歯を抜いているところです(写りが悪くてすみません)。これはいかにもカラバッジョらしい画です。ふだんはあまり展示していないものです。暗くて距離があって、とっても見にくいです。

パラティーナ美術館

さらに階上の近代美術館では、リソルジメント期の絵画や彫刻が展示されていておもしろいです。まあ下に比べれば印象薄いですが・・・

パラティーナ美術館

この牛はTボーンステーキ適合種です。豚もブランド豚です。
パラティーナ美術館
 
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ルネサンス期のブラック企業 寝ずに働け! それでは問題です。社員を寝ないで働かせるために使われたものは何でしょうか? フィレンツェをまじめに観光してみた [イタリア2015]
ルネサンス期のブラック企業

経営者であれば誰でも、どれだけ社員をこき使えるか考えるもの。
フィレンツェの商工業者の中には、「社員が寝なければ、いくらでも働いてくれるじゃないか!」と考えた人がいました。

それではここで問題です。この家で、社員を寝ないで働かせるために使われたものは何でしょうか?
ちゃらららら〜ん シンキング・タイム〜
はい、ではスーパーひとしくんをかけた板東さんのお答えから(以下略)

では正解です、この家で、社員を寝ないで働かせるために使われていたのがこれ。ケシの実から作った大麻です。大麻を吸って今日もバリバリ働きましょう!

ブラック過ぎて、絶対ボツネタですよね。
しかも「うちは大麻で社員を働かせてますよ」と壁に書いちゃってるから、もう開き直っちゃってます。

ルネサンス期のブラック企業

日本軍も、兵士に大麻を吸わせて突撃させればいいと思って、やってましたからね。大●製薬、犬神家の・・・ISとぜんぜん変わらんな。
まあ、いまであればブラック企業禁止法に引っかかって来年から社員採用停止ですね。
ちなみにこの建物は、打って変わっていまではバリアフリーホテルになっています。過去の罪滅ぼしをしているのか・・・(「パパは麻薬を打って変わってしまった」を思い出してしまった)

ルネサンス期のブラック企業
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テルマエ・ロマエ跡に立つホテル・ブルネレツキ フィレンツェをまじめに観光してみた [イタリア2015]
ホテル・ブルネレツキ

このまるい塔が、フィレンツェで一番古い、5〜6世紀の建物です。「わらの塔」と呼ばれているのは、女囚牢として使われていて、囚人はわらを寝床にしていたから。
この建物の周囲は、ホテル・ブルネレツキという立派なホテルになっていますが、そのホテルの地下深くに、1980年代に発掘された古代ローマ時代のテルメの跡があります。まさにこの塔の真下が、湯を貯めるタンクになっていたようです。

ホテル・ブルネレツキ
この近くの凱旋門のあるレプブリカ広場広場が、アウグスツスがフィレンツェの町の建設を命じたときのフォロなので、テルメを作るにはちょうどよい距離です。
発掘された陶器(古いものもまた再利用するので、いろいろな時代のが発掘される)が展示されています。

ホテル・ブルネレツキホテル・ブルネレツキ

公開日が限られているようなので要注意。

ホテル・ブルネレツキ
 
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ラウレンツィアーナ図書館 ミケランジェロ設計 フィレンツェをまじめに観光してみた [イタリア2015]
ラウレンツィアーナ図書館

ミケランジェロが、クレメンテ七世の命を受けて設計したラウレンツィーナ図書館、メディチ家の墓所であるサンロレンツォ教会の隣にあります。16世紀に図書館を作って蔵書を解放しようというのがディチ家のすごいところです。
各所にメディチ家の紋章が。メディチ家は薬屋からスタートしたので、丸薬がマークです。

玄関室は、メディチ家の威光と知の世界の偉大さを示すため、とても圧迫感のあるつくりになっています。
実は天井はもっと低くして、天窓をつけるつもりが、法王が「天窓は嫌」と言ったので、天井を高くして明かり取りの窓をつけたのだそうです。
とても印象的な石段は、ミケランジェロの抜群のセンスを示すものです。

ラウレンツィアーナ図書館 ミケランジェロ設計

そこから閲覧室に入ると、書架と一体化した椅子になっていて、書架の端に置いてある本の名前が書いてあります。これもミケランジェロのデザイン。
ラウレンツィアーナ図書館

明るさを確保するため窓は大きく、ステンドグラスになっていて、カネを出したメディチ家のピエロ(ロレンツォの息子)のマークの亀や、羊や「SEMPRE」の文字、サント・ステファノ騎士団のマークが描き込まれています。

ラウレンツィアーナ図書館ラウレンツィアーナ図書館

そこからすぐ隣りに、18世紀あたりに新古典様式で立てられた新しいコレクションを収蔵している図書館にも行けます。なにがしかの古文書をいつも公開しているようです。

 
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