大学の医学教育が国際基準を満たしているかどうかを評価する一般社団法人「日本医学教育評価機構(JACME)」が、12月に発足する。
日本の医学教育は、大学ごとにカリキュラムが決められ、医学教育の質を担保する明確な基準と評価システムがなかった。初めて第三者の目で統一的に審査し、医学部を持つ全国80の国公私立大などの医学教育の底上げを図る。
同機構は、文部科学省の支援を受け、全国医学部長病院長会議が主導して発足。高久史麿・日本医学会会長が理事長に就任する。
審査は、世界保健機関(WHO)の下部組織「世界医学教育連盟」などが設ける国際基準に基づいて来年度以降に始める。具体的には、▽診療現場に出る臨床実 習が、全カリキュラムのおおむね3分の1(約70週)を確保しているか▽学生や教員が議論するなど主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」を導入している か――など計72項目にわたる。
項目ごとに「適合」「部分適合」「不適合」の3段階で評価し、国際基準を満たしている場合には、同機構が大学に認定を与える。結果は公表され、認定は7年間有効となる。
米国は2010年、海外の医学生が卒業後の臨床研修を23年以降に米国内で受ける場合、国際基準を満たした医学部の卒業生に限ることを、各国に通告した。 米国での臨床研修を受ける日本人は卒業生全体の約1%(年間80人程度)だが、大学が国際基準に認定されないと、海外で医師として活動を希望する優秀な学 生を集めにくくなる恐れもある。